この厚さは辞書です。ひとつひとつの論点紹介の深さも、充分すぎると思われる箇所も見受けられ、
各個人が必要な箇所について掘り下げるという使い方をすべきと思うからです。
いきなり初学者が手を出すべきものではなく、せめて3回し目くらいから使えば十分です。
内容は、細かいことでも、ほとんど書き尽くされています。
この手の厚い本では、記述された論点や判例の範囲は広いが、趣旨や理由付けが薄い
といったことはよく見受けられるのですが、本書ではそんなこともあまりなく
必要十分にまとめられていることにただ驚かされます。
特に、注には素晴らしいことが書かれていますので、辞書として使用する場合は、
本文だけで終わりにせず、注まで目を配ることをおすすめします。
しかし、本書の問題は目次と事項索引の使いにくさに尽きると思います。
書いてあっても、探せなければ何も見つからなくなってしまいます。
判例索引で目的の事項に たどり着ければ問題はありませんが、正直、
使い込まないと厳しいでしょう。
中でも、会社法において事項索引の重要性は高いと思います。
これは会社法が、実体的な要件と手続的な要件をひとつの法律に
まとめていることにもよると思います。
例えば、同じ株式でも、平等原則と新株発行手続、それが取締役会で
どのように問題になるか、また新株発行無効の訴えなど、同じ事項が別の部分で
どのように規定されているか問題になることは多いと言えます。
事項索引さえしっかりすればこれほど素晴らしい本はないと思います。
縦書きなのは好みだと思いますが、目次と事項索引は辞書らしく整えて欲しかったものです。
(他の本で恐縮ですが)高橋先生の重点講義でさえ2版で判例索引が付されるなど、
改善が見られただけに、内容面は4、目次と事項索引であえてマイナス2とし、星は2で評価します。