諸星大二郎の『栞と紙魚子』文庫版が届いたので早速読んでみた。のっけから栞と言う女子高生が生首を拾ってきて紙魚子という友達の提言でそれを飼うという話で、「こいつら大丈夫か?」と正気を疑わずにいられない話だったのだが、全編に亙ってそういうテイストなんだと納得すると、幻想と現実の入り混じった奇妙な世界がとても魅力的に思えてきた。
クトルーちゃんという如何にもクトゥルー神話っぽい女の子が出て来る。私はラヴクラフトがどうも肌に合わず途中で投げ出していたのだが、これを機に読んでみるのも良いかなと思った。
『陳氏菜経』という、明の時代のグルメが著したという料理本が出てくるが、これはどうやら実在しないらしい。人間の調理法が記されているという曰くありげな本だ。モデルとなった本があるのならば手にしたいものだ。『羊たちの沈黙』のレクター博士が持っていた本にも、人間の背中の肉を材料とした料理が載っていた。
霧の深い日には化け物が市を開くという話に青い馬が登場するのだが、聖書に、「青い馬の上に死が乗っている」というような記述があった気がするので、それか! と当たりをつけていたのだが、案に相違して例のアレだった。
『耳嚢』から猫が喋るという話が引かれているようだったが、この話は記憶に無い。あまり印象に残らなかったのだろうか。それにしても猫がああいう風になってしまうとは。「重い、重い」と苦しむ栞にゾクッとした。