これまで、グイン・サーガ単体に焦点を合わせた書籍はあったが、栗本薫・中島梓の全活動に満遍なく光を当てたものは無かった。
その意味で、著者は素晴らしい仕事をしたと思う。
グインのみならず、魔界水滸伝、その他のSF、伊集院大介シリーズを筆頭とするミステリー、JUNE小説、評論、演劇等、いかに栗本薫・中島梓の活動範囲が広かったかということを改めて認識させられる。
また、幼少期から作家活動に至るまでの背景にも触れられ表現者になるべくしてなった姿が浮かび上がる。
彼女の死でしか、その活動を回顧する機会を与えられなかった事が悔やまれる。
著者の解説はあたりさわりなく必要最低限であり、やはり広く浅くといった印象は否めない。
しかし、約半分がカラーページで、表紙イラストをはじめとした多数の図版、原稿写真、執筆環境等を見ることができるのはファンにとっては非常に喜ばしい。
個人的には、やはりグインの創作ノートについての部分が気になる。
豪華本の付録として公開された部分に比べれば、わずかな量の写真だが、その一枚からは最終巻として予定されていた「豹頭王の花嫁」に至る流れを想像させるメモ書きを見ることができる。
出来ることであれば、創作ノートは小出しにせず、単体で書籍化を希望したい。
例え、それらがただのメモ書きの集合だったとしても、そこから終わらない物語の終局を想い過ごしたいのは、私ひとりだけではないはずだ。