第二次大戦下における日系人の苦悩を描く超大作。登場人物は架空だが、起こったことなどは全て事実。著者の調査に感心するとともに、ノンフィクションではなく物語に仕上げることによる圧倒的な説得力とリアリティにただ脱帽。素晴らしい小説だ。
戦時中の日系人が受けた差別はなんとなく知っていたが、ここまで詳しく知らなかった。そして私がもっとも衝撃を受けたのは、ヘンリーの章で語られる第四四二連隊の実態である。帯に「地獄を見た」とあったが、ここで語られる内容は全て史実である。戦場のすさまじさ、残酷さの描写は、上巻の解説にもあったとおり、プライベートライアンを超えているのではないか。読書中に神に祈ったのは初めてである。
真保氏といえばホワイトアウトを代表とするエンターテイメント娯楽小説の第一人者である。今でも「面白かった」と思うのはホワイトアウトだが、後々まで心に残るという意味では、断然「栄光なき凱旋」である。おそらくこの本のことは一生忘れない。
最後に、今まで第四四二連隊のことを全く知らなかったことを恥ずかしく思う。