槍ヶ岳の北アルプスから、日本海の親不知海岸へ繋ぐ夢のような道「栂海新道」を知っていますか?こんな道を作った人たちがいたのですね。この本の著者小野健さん率いる「さわがに山岳会」が10年の歳月をかけ、藪を切り開いて作った道。そしてその後40年以上にわたり、維持し続けるこの道は北アルプス最後の秘境として、知る人ぞ知る人気の山道となっている。だいたいアルプスと海を繋ぐなどと言う発想は常人ではありません。しかし今では、日本海から太平洋にまで歩いて繋ぐと言うとてつもない目標を達成しようとする目的を持った人々にその場を提供している道でもあります。
こんな魅力的な道を作った人が書いた本です。そこに展開する自然、人が織り成す不思議な物語が本書の魅力ですね。早大理工学部博士でもある著者が語る「栂海」の自然は、氏の専門である地質から始まりそれと密接な関連のある植生へとすすみます。さらのそこに住まう動物たち、さらにそこに集う多彩な人々の関わりが、淡々とした氏特有の言葉で語られています。
この本は著者の本質である自然への畏敬が根底に流れているのだろう。くまやカモシカやモリアオガエルとのエピソード、栂海に咲き乱れる高山植物との語らいは読者を夢の世界に導いてくれます。