『柳生真吾の八ヶ岳だより――だから園芸はやめられない』(柳生真吾著、日本放送出版協会)には、八ヶ岳の四季の移り変わりと、その魅力が詰まっている。カタクリが運んでくる八ヶ岳の春。耳を澄ますと新芽の弾ける音が聞こえる芽吹きの季節。足早にやってくる短い夏。野草たちの競演。最盛期は僅か1週間という紅葉。植物たちが余計なものをぎりぎりまで削ぎ落として、じっと耐えている凍てつく冬。植物だけでなく、八ヶ岳の動物たち――昆虫綱、両生綱、爬虫綱、鳥綱、哺乳綱――にも温かい目が注がれている。
私たちが高原で過ごす贅沢を手に入れようとするとき、あれこれ迷うことはない。ほんの少し頭を切り替え、よし、行くぞと決心するだけでいい。たちまち、心の中に緑の高原が広がってくる。