本書の最大の特徴は、Q&A形式で技の解説を進めていくところにあります。冒頭に基本的な技の施し方は説明がありますが、細部については第3章以降で、乱取や試合で直面すると思われる「極まるか極まらないか」の分水嶺につき、明確にその打開策を明らかにしてくれます。
その中で一つ気づいたことがあります。固の形でのいくつかの技法を、乱取に応用するように推奨されていることです。例えば逆十字絞を外すときに相手の両肘を内側に押し込む技法や、片羽絞に対し、自分の両手を組み合わせて押し下げる技法などです。私はこれらの技法はあくまで形の世界だけのもので、なかなか実戦で使えるのもではないだろうと思い込んでいましたが、どうやらそうでもなさそうです。
考えてみれば著者の一人である希代の寝業師小室宏二氏は、形の世界でも固の形で現在までに2度世界を制しています。遅まきながら「形と乱取は柔道の両輪」という言葉が、あながちお題目ではないことに私もようやく気づいた次第です。