本のタイトルになっている「架空の球を追う」なんて7ページしかないし、
11編すべて完成度は高く、はずれはないんだけど、その短さゆえに読んだ後の充実感は少ないです。
“もうちょっと読みたかった”という思いがどうしてもつきまといます。
だから評価の星はあえて低くして3つ。
生活のなかでのちょっとした瞬間を切り取った短編集。
その瞬間のチョイスが素晴らしくうまく、女性ならではの視点と観点で感じるものが多かったなぁ。
なかでも秀逸なのは「パパイヤと五家宝」。
高級スーパーマーケットへ非日常のファンタジーを求めにやってきた主人公。
2000円の高級マンゴーをなんの躊躇もせずにかごの中に入れる優雅マダムが目に止まり、
彼女がかごの中に入れるものとまったく同じものを自分もどんどん入れていく。
自分が本当に食べたいと思う食品を見つけて我に返ったのだけど、最後のレジの会計の時に・・・・サイコーです!
このお話に限らず、「ドバイ@建設中」も「二人姉妹」も「架空の球を追う」もラストの落とし方がうまい。
なのに・・・もったいない。こんな短い短編じゃなく、しっかりじっくり長編で読みたかったです。