女性の持つ生来の優しさや暖かさを感じられる、実にアットホームなアルバム。タイトルの「果実」が表しているように、とても甘くて瑞々しい曲ばかりが収録されている。シングルとしても発売されている「あなたの愛になりたい」を聴かされると、男としての心構えを見直さなければ・・・という気分にさせられてしまうので、男性なら一度は聴いておきたい。「初めての恋」は、男女問わずにお勧めの逸品。「自分にも身に覚えが・・・」という思いと同時に、「今時の女性に、こういう感情を求められるものなのかな」と、つい首を傾げさせられてしまう不思議な曲だ。過去へのタイムスリップと、複雑な現代社会の問題提起を同居させた傑作と言えるだろう。疲れた心を癒すには、「Sincerely」を聴くと良いだろう。彼女の曲の「ほのぼの路線」の重心とも言える曲なので、日常に疲れた方に是非。「アゲイン」と「家路」の2曲は、アルバム全体の曲調を引き締める役割として、ちょっと哀しめの曲だが、役割以上に、それぞれ一聴の価値ありの名曲に間違いない。ファーストアルバムから『melting』までを一通り聴いてみると、このアルバムが、どうも彼女らしさを反映させた最後アルバムのように思えてならない。押し付けではなく、さり気なくも力強い形で女性愛を歌い上げる辛島美登里の才能と努力に拍手を贈りたい。これだけの名曲達を輩出してきた辛島美登里だが、高校時代は何故か合唱部に入っていなかったという。誘われても断っていたというから不思議だ。今の辛島美登里を見て、「あのミリがねー」と、過去の彼女を知る方々は驚いている。(当時の同級生談。ミリとは、高校時代の彼女のニックネームだそうです。)