第3回(2004年度)「このミステリーがすごい!」大賞受賞作
「果てなき渇きに眼を覚まし」改題「果てしなき渇き」
著者名古川敦史を深町秋生に改名。
とても後味の悪い小説です。
元刑事藤島が、行方不明になった高校生の娘加奈子の行方を追うのですが
その過程で、娘の知らない面がどんどん明らかになっていきます。
基本的な文章が下手なんですよね。一人称がたびたび入り込む三人称が
主体なのですが、よく主語がわからなくなります。
また人物造形も薄い。主人公の元刑事の藤島は、職人のような刑事だったと
設定されていますが、それがひとつも感じられません。
過去のエピソードなり、現在の行動からそれをうかがわせることもない。
ドラッグを見つければそれに溺れ、女を見れば犯し、拳銃を手にすればぶっ放す。
彼がどんどん壊れていくのも、よくわからない。
さらに娘の加奈子は、皆が一様に「頭がいい」というが
それもそれほど頭がいいとは思えない。
ストーリーも、人の心の闇に迫るフリをして、掘り下げていかない。
また加奈子の心が壊れてしまう原因もあまりにも陳腐。
それに対する父親としての藤島の行動も不可解。
プロットは藤島が、行方不明になった娘を追うストーリーと
3年前加奈子に関わった中学生のストーリーが交互に語られ
これは巧みに練られています。
この小説を最悪にしているのは、藤島をはじめ登場人物の暴行・レイプシーン。
正直、もうこの小説を読みたくない、と何度も思いました。
しかし読者にその感情を抱かせるのが、もしもこの著者の狙いだとしたら
これほどの描写力もないだろうと思います。暴行シーンだけはうまい。