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果し得ていない約束―三島由紀夫が遺せしもの
 
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果し得ていない約束―三島由紀夫が遺せしもの (単行本)

井上 豊夫 (著)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

◆36年前の「楯の会の決起」が歴史に埋もれてしまったかのよう
に思える現在、三島由紀夫氏の真意を今こそ多くの人に理解してほしいと願う
著者の渾身の手記です。
◆学生時代に楯の会に所属し、三島由紀夫氏の薫陶を間近で受けた著者が、誤解
されがちな三島氏の素顔をありのままに語っています。
◆口絵をはじめ、晩年の三島氏らの貴重な写真13点も収載しています。
 現在、故郷の金沢市で事業を営んでいる著者は、ある日、楯の会会員に宛てた
三島氏の遺書を再読し、残された者としての「最低限の任務」を果たそうという
思いに駆られて本書を書き始めました。
 楯の会入会の経緯や、自衛隊での本格的な訓練の様子、当時の楯の会の情勢認
識なども含め、当事者でなければ語りえない貴重な証言となっています。同
時に、随所に引いている三島氏の文章に36年後=今の「現実」を照らすことで、
戦後日本のあり方に警鐘を鳴らす書ともなっています。


内容(「MARC」データベースより)

1970年11月、三島由紀夫が憲法改正を訴え自決してから36年の歳月が流れた。三島氏による「檄文」や、所属していた「楯の会」のメンバーに残した遺書などを通して、その理想や事件をあらためて顧みる。

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5つ星のうち 5.0 団塊の世代必読, 2007/1/17
By Y.A (さいたま市) - レビューをすべて見る
「果し得ていない約束」を果すために三島由紀夫は36年前、市谷駐屯地で演説後自刃した。
井上氏は三島氏の遺言(「あとに続く者あるを信じて・・・」)を再読することにより、自身の「果し得ていない約束」を最低限果すために本書を書いた。
人は誰も自身が果すべき約束を大なり小なり心の奥底に秘めて生きてきている。気付くか気付かないかの差である。「なぜ生まれてきたか」に、それはつながっている。ただ三島氏はあまりにも有能で純粋で「行動の人」でありすぎた。それを本能的に同じ心を持つ井上氏が感応して魅せられていったように思う。若さこその無謀ともいえる(学業そっちのけの)「楯の会」への入会。
私は井上氏と同年齢だが、1968年(昭和43年)10月21日、私は何をしていたか。1969年10月21日私は何を考えていたか。そして1970年11月25日(事件の日)私はどう受け止めていたか。思い起こすに、それは「国」のことではなく「自分」のことばかりであった。三島氏・井上氏の生きていたあの瞬間を、私は時代の奔流を横目で見ながら暢気にも「自分だけの青春」を過していた・・・
この本に出会って改めて三島由紀夫の「人」(批評でしかないが)と「作品」に興味を持ち数冊読んでみる。しかし何冊読んでも実際の三島氏を知る井上氏には誰もかなわない、当たり前だ。批評家は作品の分析はできても「真の三島氏」を語ることはできない。この本のまえがきから第一〜終章(檄文)あとがきまで三島氏を語るに当たって必要不可欠な事を、無駄なく感情に走ることなく語り尽くされていることに、再読することで実感できる。
同じ青春時代を生きたすべての団塊の世代に、是非読んで欲しい珠玉の一冊です。特に終章の檄文は、三島氏が命に替えて世に問う、今でも色褪せない、いや今だからこそ現代を生きる私達の魂を揺さぶる名文である、と私は信じる。
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9 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 未だ変わらない状況, 2006/11/12
現在の日本では,三島由紀夫の小説を経験する青少年がどのくらいいるのかさえ不安ですが,誰が読んでも共感できる内容が,檄文はもちろんそれ以外のエピソードにも本書にはちりばめられていて,人生観や国家観を自然に思索させられます.方法論として正しいかどうかではなく,義を重んじ私欲を捨てて行動した人達が存在した事実を強く受け止めるべきだと思います.若者から戦前を知る人達まで,また日本のリーダーである方々にもぜひ一読してほしいと感じました.
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5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 パラレル・ワールドの生きざま, 2009/1/29
あの三島由紀夫が組織した「楯の会」に属していた井上豊夫氏が、三島の「檄」を未だ果たさざる約束として捉え、これまでの生き方を綴った本である。

「東京大学では、大学当局が警察力の導入に消極的だったために、状況が泥沼化しました。1969年(昭和44年)1月には安田講堂に立てこもった全共闘と機動隊が激しい攻防を繰り広げた結果、学生全員は逮捕されたものの、安田講堂はいたるところが破壊され、東京大学は1969年の入試中止を発表しました。…東京大学の入試中止でこの年の大学入試は史上最難関となり、受験生たちは志望校を変更せざるを得ませんでした。私も国立一期は一橋大学から神戸大学に志望校を変えましたが、あえなく失敗。合格したのは上智大学と関西学院大学だけでした。」(14-15ページ)

今では語られることも少ないが、1969年の大学入試は、東大、東京教育大学(現・筑波大学)の入試が中止となり、弱小の東京外国語大学では「暴力学生」が入試を妨害するからという名目で1科目30分という「変則入試」が行われた。4科目で120分だけ、あとは「内申書」で選抜という前代未聞の「奇策」だった。
こうした状況に受験生は狼狽し、志望校のレベルを下げた者も多くいた。私自身も友人が持っていた志願書を1枚もらい、これまで一度も考えたことのない、ある私立大学を受験した。

1969年の時点では、井上氏と私は、同じような境遇で、同じ出発点にいた。当時の著者は、当然のことながら髪の毛もふさふさしており、眼光の鋭い青年だった。しかしながら、彼自身が「楯の会」の会員であることを広言していたので、こういう大学にはこんな「右翼」が跋扈しているのかと思い、親交を交わすことはなかった。

井上氏が「楯の会」に熱中していたとき、私はアルバイトと市井の「中国語講習会」に力を注いでいた。この中国語講習会には様々な人がいた。政治闘争に走った人たち、ジャーナリストになった人…。みんな「新中国」に希望を求め、「思想」を理解する手段として中国語を学んでいた。今の学生からすれば、信じられないことだろう。外国語の習得は、技術あるいは手段に過ぎないのに…。

この本で井上氏の空白の個人史を知ることができたのだが、これまでの彼我の人生は、全くの平行線だった。「楯の会」から家業(?)の「会社社長」へと優雅に転身した井上氏の人生は、順風満帆かどうかはともかく、華麗なる生き方であったことは間違いない。翻って、私はどうだったのか…? まさに人生さまざまというほかはない。

三島の「無機質な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない、或る経済的大国が極東の一角に残るであろう」という予言は、今まさしく的中した。これらの形容詞に付け加えるべきものは何もない。ただただ驚嘆するばかりだ。

「日本人であること」「自分の国を守るということ」を忘れたツケは、限りなく大きく、絶望的な気分にさえなる。
この点で、ようやく著者の生き方と交差したような思いがする。
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