アイドル論というのは余り読んだことがなかったが、
80年代に小学生時代を過ごし、ベストテンに親しみを持つ世代として
そして中森明菜のファンとして思わず手に取りました。
文芸論として論じるというスタンスは面白いですが、
ほとんどが松田聖子論で、中森明菜に関しては論考は量・質ともに物足りなく、
二人を比較しての論考を期待していたのだがそれもいまいちで、がっかりさせられました。
タイトルが「松田聖子の世界」だったら納得なのですが、
明菜ファンとしては「コノヤロー、ネタに使いやがって!」という気分です(笑)。
芸名/本名とアイデンティティ(この言葉は使わなかったが)の関係など
説明不足で、特に後半は急ぎ足だったように感じます。
膨大なデータは読みにくいので、ある程度まとめて提示して貰いたいと思います。
大量のデータが羅列してあると論述の信憑性が増すようなイメージがありますが、
単にデータの整理解析がきちんとされていないように思えます。
データと主題がちゃんと結びついておらず、練れていない、なんだか草稿段階のものをそのまま出してしまったようにも見えます。
あと、筆が走り過ぎたというのでしょうか、
アイドルの意味を強調し、あるいはレコード大賞の運営を批判するあまり、
演歌に対して必要以上にネガティブな評価を下しているように思えます。
(作詞作曲をせず)歌うだけの歌手にも創造性はあると言う主張につづけて、
「クラシックの演奏家は楽譜を演奏するだけで創造性がない」と受け止めかねない表現が出てくるのは、この人が本当にクラシック批評されているのかな、と疑問ですし、少なくとも編集がきちんとされていないやっつけ仕事の感が否めません(文脈上クラシックを引き合いに出す必然性は全くないので、編集者がちゃんとチェックすべきところ)。アイドルから入ってクラシック、民謡や演歌も大好きな自分としては引っかかりまくりの本でした(笑)。
この程度の本でも売れてしまう、松田聖子と中森明菜の名前の偉大さは改めて感じます。