このベストアルバムは86年の「コンプリート・シングル・・・」に一部の曲を加えたうえで価格を抑えたもので、いわばその廉価版といった言い方がぴったりします。後に4枚組BOX盤も出ていますので、今やベスト盤としての価値もそれほどあるとは思えないのですが、このアルバムで彼女のシングル曲を改めて聴いてみると、聴き古した曲とはいえ、いつしか懐かしさでグイグイと引き込まれていってしまいました。彼女はまさしく80年代前半を象徴するアイドルシンガーであり、今思えば本当に良い曲を歌っていたと思います。
松本伊代がデビューした81年10月の時点では未だ彼女は未だ16歳でしたが、本当に可愛かったですね。そのデビュー曲があの「センチメンタル・ジャーニー」で、それは湯川れい子のユニークな歌詞と名手筒美京平によるメロディが見事に融合していました。以降、筒美京平の手掛けたナンバーが良いことは言うまでもないのですが、やはり本人がもつ独特のキャラクターに負うところが大きかったと思います。また、後年、尾崎亜美作の曲を何曲か歌っていましたが、これらは大きなヒットには繋がらなかったにせよ、ふと大人を感じさせるところがありました。「恋のKnow How」や「時に愛は」なども忘れてはならない曲でしょう。
彼女は決して歌が上手いとは言えないし、声量があるとも思えません。でも歌を通じて自らの個性を表現していくことでは、決して他の歌手に負けることはなかったのではないでしょうか。このベスト集を聴いて、改めてそのことを感じました。