アメリカ在住の映画評論家である町山さんが選んだ未公開のドキュメンタリー映画を見て
オセロの松嶋さんと、あれやこれや語る対談。
あれやこれや、といっても、その対談の中で、ドキュメンタリー映画の概要だけじゃなく、取り
上げられている問題の背景などが要領よく紹介されます。ほんの一言二言(行にして数行
程度)の発言で、問題の背景から現状と、それが映画とどう関係しているかなど、サクッと
紹介する整理能力に驚嘆しつつ、松嶋さんの感想や応答も小気味よく、スッと読めるのに
詰まっている情報量は膨大です。
そんな具合に紹介されるのは、頑迷な原理主義者あり、傲慢な利益追求あり、キツいアフ
リカの少年兵の現実ありと、実にやるせなく、切なく、重たい現実です。
しかし、明言こそされませんが、それでも本書は、厳しく重たい現実を突きつけるだけのもの
に終わってはいないと思うのです。
一方に理不尽な現実がありつつ、そんな現実を理不尽だと告発する人がいること。このよう
にドキュメンタリーの映画として世に出ていること。それには映画を作った人だけじゃなくて、そ
の制作を支援した人がいること。そして、町山さんのように、それを発掘して紹介する人がい
ること。松嶋さんのように、ちゃんとおかしいことはおかしいと感想を持つ人がいること。
よろしくない現実が重たい一方で、それを「よろしくない」とする人々が、ちゃんといること。
切ない背景を告発しながら、本書を読むと、なんとなく気分が明るくなります。
私も、ちゃんとお仕事がんばって、いろいろ障害はあるけれど、自分のやりたいことをちゃんと
やろう、って気になりました。
「でも、やるんだよ」を合い言葉に。
松嶋さんのブッシュ大統領評、「よりによって残念な」に声を上げて笑ったことを報告しつつ。