一審で無罪となったネパール人被告は検察の要請により再勾留、控訴審では逆転有罪判決を宣告されてしまう。だが、無罪を信じる著者は、ひるまず事件の行方を追い続ける。再勾留決定にかかわった裁判官が少女買春で逮捕されるなど、一般には知られていない因果関係を明らかにし、司法の堕落を追及していくのだ。
だが、執拗なまでの取材なら、前作でも十分行われていた。本書が単なる続編にとどまっていないのは、事件を読み解く新しい視点が用意されているからである。前作発表後、特に女性読者から尋常ならざる反響が寄せられた。その多くは、敬慕する父を失い、エリートへの道を閉ざされて堕落へひた走った被害者への同情と共感だった。著者は、閉鎖した社会のなか、女性たちが窒息寸前であると感じ、何人かの読者にインタビューを試みる。こうした展開は凡百のルポルタージュでは考えられないもので、事件の社会的意味を考えさせて秀逸である。
情熱あふれる著者の筆致には、しばしば客観的でないなどの批判もあがるが、「事実だけにとらわれて痩せていく一方のノンフィクション」(著者)とは違うものを生みだそうというのがその意図だろう。むろん、試みが成功したかどうかは読者が判断することだが、志は大いに賞されてしかるべきである。(大滝浩太郎) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
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高裁で容疑者の拘留を審議した検事が女子中学生との淫行罪で逮捕、有罪となった事件を取り上げるに及び最高潮に達する。この事件の一関係者が起こしたとはいえ、直接の関係はない事件を取り上げ、有罪となった検事の生い立ちに東電OLの生い立ちを重ねて論じる。ダイエーの中内元会長を描いた「カリスマ」でも見られたが、論理展開、叙述方法は牽強付会に感じられた場面があったことも事実。
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