昭和23年の作品を一部改めた本だという。しかし執筆の動機はいま(2005年現在)のわたしが読んでも納得ができる。
「民衆がどんな政治家を持つか。政治家がどんな人間であるか、ということで民衆の禍福が大きく支配される。そこに政治家の深い厳粛な反省と責任と、したがって立派な人格と教養とが要請される。それにもかかわらず、実際はこれを裏切って、政治家ほど堕落しやすいものはない。何故であろうか」
全くその通りである。色褪せていない執筆動機だ。
本書の大部分は中国の歴史上の人物論になっている。正直、簡単な内容ではない。勉強のための本である。しかし中国との正常な関係の構築は国政を預かる者なら第一義であろう。中国人が尊ぶ人物たちに十分な理解を示す教養がなければ、外交も独りよがりになってしまい、役に立たない政治家のレッテルが貼られてしまう。恐ろしいことだ。
「人物」を通して中国を理解し、自分も修める気概の大切さを教えてくれる歯ごたえのある本である。