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最も参考になったカスタマーレビュー
15 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
12月23日の天皇誕生日−1948年(昭和23)のこの日、東條英機の処刑が執行された,
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レビュー対象商品: 東條英機 処刑の日―アメリカが天皇明仁に刻んだ「死の暗号」 (文春文庫) (文庫)
昭和天皇が崩御されてから、昭和時代の「天皇誕生日」は「みどりの日」となって国民の祝日として存続することとなった。崩御から19年たった2007年(平成19年)には「昭和の日」と改名されて現在にいたっている。現在の天皇誕生日は12月23日である。1948年(昭和23年)12月23日、当時は皇太子であった明仁親王の15歳の誕生日、占領軍によって東條英機をはじめとするA級戦犯たちに絞首刑が執行された・・・。東條英機は昭和天皇の身代わりとなったのであった。 なんという一致であることか。いや、しかしこれは偶然の一致ではない。アメリカ占領軍が、いや端的にいえばマッカーサーが日本占領の歴史に刻み込んだ「死の暗号」なのだ! 猪瀬直樹は、じつにおそるべき事実を発見したのである。多感な少年時代にこの事実を知った、ただ一人を例外として、誰もが気がつかなかったこの事実を。 本書は、猪瀬直樹の作品系列のなかでは、『昭和16年夏の敗戦』、『黒船の世紀』につづくアメリカもの三部作の最後にあたるものだ。本書では、より作者が内容に深く関与するドキュメンタリー・スタイルのノンフィクションになっているのは、著者自身もそのなかで生きてきた現代史そのものであるからだろう。 幕末に太平の夢を醒まされ、力づくに開国を迫られたうえに弱肉強食の近代世界に放り込まれた日本。そして、「黒船」コンプレックスを精神の深層にわだかまらせてきた日本人。第二次大戦における敗戦によって、さらに精神の深いレベルで傷を抱えることになっているのに、あたかも何もないかのように振る舞い続けてきた日本人。しかし、それにはおのずから限界というものがある。 「3-11後」となり、長く続いた「戦後」という時代が終わったと言いつつも、じつはまだ「黒船」に余儀なくされた開国も、完膚なきまきまでの敗戦による占領も、長く尾を引き続けていることを、あらためて感じざるを得ないのである。だがその事実を知ったところで、いったいどうしたらいいというのだろうか? 著者はあえて答えを書かずに、読者一人一人の課題として突きつけている。 本書は、日本人に問いかける本である。なぜ著者が東京副知事という多忙な職に就いていながらこの本を書き上げなくてはならないと思ったのか、それは最後まで読めばおのずから感じとることができるだろう。 何よりもまず、日本人は日本の歴史を過去から現在にいたる連続体として捉えなくては、けっして前に進むことはできないのである。事実を知ることそのものが大事なのだ。だから本書を読むことを、「昭和時代」を知らない若い世代にはとくに勧めたいと思う。
8 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0
大いに期待し、また失望した,
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レビュー対象商品: 東條英機 処刑の日―アメリカが天皇明仁に刻んだ「死の暗号」 (文春文庫) (文庫)
東京裁判やA級戦犯についてある程度の知識がある人なら、本書のタイトルを見ただけでピンと来るはずです。例の日付の一致について書かれた本なのだろうと。しかし、その謎が解明されるのかと期待して読むと大いに失望します。謎解きの要素はほとんどありません。著者の根拠薄弱な推測が事実であるかのように語られているだけです。 そして、日付の件は本書の本筋ではありません。本筋は昭和戦前期から占領期にかけての天皇家を中心としたわが国の歴史それ自体です。さまざまなエピソードが語られますが、この時代に関心を持つ者ならよく知っている、あるいはどこかで聞いたことがあるようなものばかりで、さしたる新味はありません。 私は本書をノンフィクションだと思って購入したのですが、巻末の参考文献リストの後ろに小さくこう書いてあります。 《*子爵夫人に関わる記述に一部フィクションを加えてありますが、この物語はすべて事実に基づいています。》 フィクションを交えて猪瀬流に昭和史を要領良くまとめたものだと考えるべき本です。 この時代の知識がそれほどない読者にとっては、手ごろな入門書となるかもしれませんが、こんな変に根拠薄弱な陰謀論に立つものよりは、もっとまともな歴史家や著述家の手による作品の方がより好ましいでしょう。 歴史の資料だと思って買ってはいけない本でした。 なお、猪瀬説に疑問を持たない方のために、私が根拠薄弱と見る理由を3点挙げておきます。 ・「子爵夫人」の日記中の「ジミー」が皇太子を指すとする根拠が不十分。夫人あるいは夫人と親交のあった人物がそう述べていたというならわかるが、そんな検証は全くなされていない。 ・当初から12月23日の処刑が予定されていたというのが猪瀬の見方だが、本書でも述べられているように、弁護人が米国の連邦最高裁に東京裁判の不当性を訴え、それが12月20日(日本時間21日)に却下されたのを受けて、死刑が執行されている。GHQあるいは本国政府が最高裁のスケジュールまで支配していたとは考えにくい。 ・夫人に12月23日に処刑される伝えたとされる人物は、本書でも述べられているように、12月7日に離日している。先の弁護人の訴えが23日より前に却下されるかどうかは不確実であったことに加え、彼がどうやってそれを知り得たのかが明らかでない(彼は要人ではあったが東京裁判に関与していたとの記録はない)。
9 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
マッカーサーが日本人に仕掛けた時限発火装置,
By すみれ (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 東條英機 処刑の日―アメリカが天皇明仁に刻んだ「死の暗号」 (文春文庫) (文庫)
鍵になるのは3つの日付。4月29日(昭和天皇の誕生日)、5月3日(憲法記念日)、12月23日(現在の天皇誕生日)。それぞれの日付に何が起こったか。東京裁判でA級戦犯28人が起訴されたのが昭和21年4月29日、裁判が開廷したのが5月3日(憲法施行はその翌年)、そして昭和23年12月23日、当時は皇太子だった明仁天皇陛下の15歳の誕生日に東條英機らA級戦犯7名が処刑されました。 日付の符号だけでも驚きですが、むろん、筆者は単なる偶然の一致を指摘するのではなく、それがマッカーサー・連合国軍最高司令官がわれわれ日本人に対して「意図的にしかけた時限発火装置」であるという、ある種、身震いするような謎解きを展開してゆくのです。 ノンフィクション作家・梯久美子さんの解説を引用します。 「その意図するところはなんだったか。本書を読み終えた方は、すでにその答えを知っている。では、彼らが放った矢は、当時から見た未来を生きる私たちに届いたのだろうか。マッカーサーが仕掛けた時限爆弾は、はたして正しく爆発したのか」 スリリングなミステリーとしても楽しめる本作ですが、梯さんが指摘するように、読後は一人一人が「歴史を背負って生きること」について思いを馳せる内容となっています。日米開戦から70年の今年、あらためて文庫版を手に取ってよかったと思います。
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