東日本大震災を機とした不動産市場の変化と、今後の日本が直面する不動産の問題を指摘する著書。
今回の東日本大震災の不動産市場に特化して見た影響を検証すると、1995年の神戸の大震災以上の被害が浮き彫りになる。
持ち家派と賃貸派のどちらがいいかという論は昔からあるが、今回の震災で住宅ローンの残った家が全壊し、借金だけが残ったという人も少なくない。
それ故、かつては持ち家が資産であり、ステータスのような感じで捉えられたものが今や「負債」扱いにさえなっている。
かつてのインフレ社会とは異なり、デフレ下では不動産の価値は時間経過と共に多くのエリアで目減りするばかり。
さらに今後の日本は人口減少社会になるのは避けられず、そうなると空き家の数がとんでもないことになる。
今現在でさえ「家余り」なのに、ハウスメーカーは新規の供給を止めようとしない。
大東建託などの会社が土地オーナーに収益物件を建てさせるほどに、供給過多で多くのオーナーは苦しい立場に追い込まれる。
だが、企業としては「建て続けるしかない」。供給過多の社会では不動産は一部エリア以外は「投売り」状態にまで価格が下がるだろう。
そうなると、やはり今後の不動産は先行きの不透明さと相まって「一生賃貸派」が力を得てくるような気もします。
さらに世帯数の減少で、1世帯当たりの構成人数は昔のように6人も7人もいるなどということはなく、1〜2人が多数派を占める。
人数が少ないのに「広い家」は管理・清掃が大きな負担になり敬遠される。
身の丈に合った広さの家に今後は需要が移行するだろう。
地方は車社会であるが、高齢化社会を迎えている日本には交通の便が悪い。
郊外に住居を持つのは暮らしにくく、都市回帰が加速するのも避けられない。
仕事・家庭・商業施設が一体化しているようなエリアが今後は好まれるようです。
不動産投資はデフレ下で金利が安い今は決して否定するものではありませんが、縮小社会の日本では
儲ける大家と損をする大家の二極化が進むでしょうね。
地震大国である日本では遠隔地に別の住居を「地震による自宅崩壊に備えて所有する」という戦略も有効かと思います。
地方なら古い戸建なら数百万円で購入できるでしょう。
通常は「別荘」として、非常時は「避難場所」として機能するような家の持ち方も考えたほうがいいかもしれません。
全体的には「あまり明るい話は語られていません」。
悲観的な論調を認めて、有事に備えよという1冊ですね。