著作者の名前を失礼なことですがこの本を手にするまで全く知りませんでした。大学在学中にアルバイトで東宝に入社後、編集、助監督を経て関連会社へ出向後、制作者として数々のCMや「クレクレタコラ」「傷だらけの天使」などちょっとカルトなテレビドラマを手がけていたりする方で、まずは私自身の不明を恥じ入るばかりです。
「1960年代の映画撮影現場」と副題にあります。映画全盛期から急速に坂道を転がり落ちるように業績が悪化していく時代のことが赤裸々に描かれています。合理化され、会社システムが完成してしまった現在から見ると、当時の映画会社が如何にずさんな経営をしていたか、これでは倒産したりするのも仕方がないな、と思われるだけかもしれませんが、逆にそうした無駄やゆとりの中から不朽の名作も生まれていたわけで、映画産業が一筋縄ではいかないことを痛感する次第です。
で、実に興味深い本なんですけど、終わり方が実に唐突でちょっと突き放された感じがあります。著者略歴の最後に「2011年9月 大腸がんにて逝去 享年72」とあります。本の発行が2011年10月。本文中に2011年に起きた事象が記されていることを見るとどうやら病床にて書かれていたのではないか?と想像できます。想像、というのもこの本には「前書き」「後書き」も「解説」も一切なく、その当たりの事情は一切不明なのです。
興味深い本なのですが、その点の不親切さがちょっとマイナスです。実に惜しい、