小谷野の反・禁煙活動を全面的に支援したいし、『聖母のいない国』などの仕事には敬意を表するが、本書にはほとんど共感を得られなかった。それは何、大した事情ではない。評者が東大とも駒場とも何ひとつ縁がないからだ。
「東大駒場学派」には文学部比較文学課の特殊な成立事情が絡んでおり、そこを出た学者達の著書には親しんでいても、その出世事情にはいまひとつ興味を掻き立てられなかった。普段はこうした学者や文壇のゴシップ物も喜んで読むほうなのだがなあ。最後まで読むのが、大変辛かった。
平川祐弘といった文学者、村上陽一郎といった科学史家も、様々な矮小な大学内政治事情のあれこれに翻弄されていたというようなことは、実際にはその業績と密接したものなのだろうが、そしてまた、そうしたスキャンダルめいたゴシップへの嗜好が健全な歴史観を形成する面もあるのであろうが、本書の記述へ興味を抱く向きは東大OBか駒場オタクしかいないのではないだろうか。
まあ、これではレビューにもならないか・・・。