まず最初に、わたしの住まいは東京で、実家も茨城なので、当事者とは言えない立場です。
それでもこの本は、ああ、地元の人のための本だな、と感じました。
(そうは言っても、印税の50%が被災地支援金として寄付されるそうなので、
地元以外の人が買うことを想定して作られたものではあるでしょうけど…
そういう意味で言えば、東北にふるさとがある、または何かのゆかりがある、
あらゆる土地の人たちへ向けた本とも呼べるのかなと思います。)
「写真集」と聞いていたのですが、実際には雑誌のような作りで、文章量もかなりありました。
岩手・宮城・福島の、主に海辺の町ひとつひとつが丁寧に語られています。
構成としては、1都市あたり見開きで2ページずつが割かれていて
(一部都市は複数まとめて掲載されています)、1つめの見開きにはカラー写真が並び、
2つめの見開きは白黒で、写真と被災状況、それと著者によるその町の紹介が掲載されています。
最初、この本が出ると知った時は、正直
「もしかしたら地元の人に見せるにはまだ早いかもしれない」と思っていました。
“普通”の生活がまだ普通以上の意味を持たず、ただ当たり前にそこにあった頃――。
もしわたしがふるさとのそんな写真を見たら、と考えると、
もう想像するだけで胸がつぶれるような気がしたからです。
でも、実際に手に取ってみたら、想像していたのとは全く違っていて驚きました。
必要以上に美化したり、あるいは悲惨さを打ち出したり、
“在りし日”を震災と結び付けて感情を掻き立てるような表現は皆無でした。
その町の魅力や見どころを穏やかに紹介しながら被害の状況をコンパクトに伝え、
希望の兆しをあちこちに散りばめた、とても落ち着いた本でした。
ページを繰るごとに、その町を観光で訪れたくなる気持ちに駆られました。
だからわたしはとても安心して読めたし(それでも泣きましたけど(^_^;))、
これなら地元の人にも、ご所望なら安心してお勧めできるなと感じてます。
もちろん、だとしても、まだ読むのに勇気が要る人はいると思うので
安易に「どうぞ」とお渡しすることはできません。
ただ、もし、震災前のふるさとの写真を見たい気持ちが生まれた時には
最初に手に取っていただくのにとても適した本だと思います。