「存在を許されるべきではない」、それがこの本を読んだ感想だ。
週刊文春が関係者への聞き込みによって浮かび上がらせた東電や原子力業界に関するスクープがまとめられている。
その中で怒りがピークに達したのは、Jビレッジでの東電の取った行動だ。
福島原発の事故対策は東電、下請け、自衛隊、消防隊の混成チームで行なわれている。
福島第1原発から南に20キロの距離にあるJビレッジが自衛隊や消防隊の仮眠所として利用されている。
Jビレッジには全90室、収容人数264名の客室があるのだが、この客室にはすべて鍵をかけて、自衛隊や消防などの作戦部隊をすべて締め出したというのだ。
客室から締め出された彼らは、ホテル棟の南側部分にあるレストランの床や、冷え切った通路の床で簡易毛布を敷き、100名以上の”戦士たち”がすべて雑魚寝を強いられているのだ!
このような事態になっている理由を東電幹部に聞くと、「原発の危機が収束すれば、また使う予定となっています。ですから、たとえ過酷な戦いをしていらっしゃる自衛隊の方々と言えども、汚く荒らされるのは何とか避けたく・・・」 と答えたという。
原発を産業として推進する資源エネルギー庁と業界を規制する保安院が同じ経産省にあることはご存じだと思うが、原発の安全審査がまたすごい。
安全審査で問題が起こると、経産省の担当者を高級クラブに接待して、東電側が「昼の話ですが、なんとかなりませんかね」と酒の席で交渉していたという。逆に、昔の通産省のたかり体質もひどく、「タクシー券、もってこい」とか、「ビール券もってこい」などは日常茶飯事。ソフトボールをやりたいからグラウンドを用意しろ、とか東電の女性社員を接待係といて呼び出したり、とにかくたちが悪かったそうだ。
安全審査は当時の通産省と原子力安全委員会のダブルチェックということになっていた。しかし、審査の資料を作成していたのは東電。通産省とすり合わせて、『安全審査書』を東電が作り、あたかも通産省が書いたかのように『通産省』という名前を入れて東電が印刷する。
次に、原子力安全委員会の二次審査では、通産省が同委員会に説明をしなければならない。その資料も東電が作り、 最終的に原子力安全委員会の『安全審査書』が出るわけだが、それも東電が作っていた。
そもそも原発は初めはアメリカから、何の技術的評価もせずに、ブラックボックスのような状態で導入されたため、電力会社さえ、技術的中身や安全性を確保する方法なども手探りだったので、安全審査する側がそれ以上の知識を持っているはずもなかったのだが。
このような事実を知り、強く感じたことは、「東電(他の電力会社もだろう)が存在し続けることを許すべきではない」というその1点に尽きる。