1997年に青蛙朝から出た単行本の文庫化。かなり加筆されている。
著者は落語の趣味が高じて、大学で落語の講座を持ったり、落語の本を編纂したりするようになったという人物。その仕事のひとつに、東京の落語にまつわる名所を案内してまわるものがあり、そのときに歩いなかから20コースを選んで紹介したのが本書。
たとえば、湯島・本郷コースでは、「野晒し」にまつわるニコライ堂から始まり、「素人鰻」の神田川本店を見たり、寄席の若竹亭跡をのぞき、「怪談乳房榎木」の白山を抜け、「お七」や「くしゃみ義太夫」の吉祥寺で終点となる(実際にはもっとたくさんの名所を経由している)。
地図もついており、ガイドブックとして使うのに便利だ。
しかし、読んで面白い本というのではない。地名、人名、建物、寺社などと、落語のタイトルが並べられるだけで、無味乾燥。また、落語によほど詳しい人でなければ、タイトルを挙げられただけでは内容が分からないだろう。そのあたり、文庫化にあって指摘され、ちょっとは改善したらしいのだが…。
やはり、ガイドブックとしてのみ期待するのが良いと思う。しかし、こういうウォーキングも、詳しい人がいっしょに歩いてガイドしてくれるからこそ面白いわけで…。