東京の公園というと、例えば新宿御苑だったり昭和記念公園だったり小金井公園だったり、
大きくって色んな施設があるところしか知らなかったんですが、この本で紹介されているのは
「主張しすぎず、さりげなく生活に溶け込む」公園ばかり(それをこの本では「空気公園」と定義している)。
この本を眺めていると、初めて知る公園ばかりなのに、とても懐かしい気持ちになる。
少しずつ、心の年齢がさかのぼっていくような感覚。止まるのは、少年だったあの頃。
といっても、「あぁ、あの頃は良かったなぁ」なんて懐古的になるんじゃなくって、
そこここにあるものを純粋に受け止められるというか、心の感度があがるというか。
子どもの頃って、見るもの全てが新鮮で、何をしても楽しくって、未来もずっと
楽しい事が続いていくんだ、って信じていて。もちろん、大人になった今、
そんなに楽しい事ばっかりじゃないけれど、そんな未来を見ていた頃の自分が持っていた
気持ちが、自分の中にまだ残っていたことに気づく。
読み終わって、この本がすごいと思うのは、ただのガイドブックとしての役割だけじゃなく、
自分の周りにもあるはずの「空気公園」を探す感覚が備わる(甦る、の方がいいかな?)というところ。
おおげさにいうと、1冊の本から、無限に世界が広がっていく。
こんな本、なかなか無いと思います。
もちろん、ガイドブックとしてもすごく読み応えがあって、写真はオールカラーだし、
公園一つ一つに対する思い入れがこもった文章、そしてそこから広がる世界を描いた
イラスト。
特に写真は、ガイドブックにありがちな説明的な写真じゃなくって、
光がとても印象的なもの。1枚の写真に、まっすぐな思いがこめられてます。
なんとなくどこかへ出かけたい人にはガイドブックとして、
忙しくてなかなか出かけられない人には読み物として、
おすすめの一冊です。