書名に惹かれて手にとって見た。
著者の森達也氏はテレビディレクター出身のノンフィクション作家。
「放送禁止歌」や「下山事件」など硬質な社会派ノンフィクション作品が著名である。
本書は2005年から2006年に月刊誌に連載された記事をまとめたものである。
タイトルの「東京番外地」とは、
「メガロポリス東京(中略)のエアポケットのような地域や施設」p218
のこと。
取り上げられているのは小菅の拘置所や山谷のドヤ街、品川の屠場、多磨霊園など15箇所。
いずれも華やかな東京の中にあって、異質な香りを放っている空間である。
都会は、死や血や肉といった生々しい人間の生を覆い隠し、
美しく装いを凝らした人工的な空間である。
しかし人間は、どんなに逆らっても肉体=自然からは逃れられない。
東京番外地は、そんな電飾やアスファルトやコンクリートで覆い隠せなかった
ナマな肉体をもつ自然の存在としての人間が見える場所なのである。
全体に重く、死の匂いが漂っているのはそのためであろう。
都会が覆い隠してきたものを、いくつか自分の足で辿ってみたい。