1冊の本としては膨大な数の町工場が取材されており、その写真のディテールから読み取れる情報量の多さは福野礼一郎著 「クルマはかくして作られる」を彷彿とさせます。あちらは大トヨタのT1サプライヤー工場がいかにして各々の自動車部品を製造しているかの解明であるのに対しこちらは多種多様な中小町工場のドキュメンタリーと表現しましょうか。
本の装丁、記事レイアウト、写真のセンスが良く心地いいテンポで読み進められます。写真家を志す方々が撮影(執筆も)したということでダイナミックな構図は好奇心をビシバシと刺激してくれます。惜しむらくは技術的な解説の詰めが甘い文章表現と、撮影の対象物がさほどその現場の独自性を表してはいないものがあること。その道数十年のプロを相手に記事にするのですから監修にはそれにふさわしいレベルが求められるのでは。
巻末の橋本氏の寄稿には日本と海外の製造業従事者の違いについて述べられており、海外工場勤務から帰国したばかりの私はまさにそのとうりだと共感しました。