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18 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
文章それぞれに思い入れの残る,
By バーニング (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 東京物語 (集英社文庫) (文庫)
文庫新刊の本作を早速読んでみたがこんなに人を描くのがユニークな存在だったか?と。「最悪」でも町工場社長の憂鬱を、「邪魔」でも主婦の細かい心情の移り変わりを書いてきたがそれこそ本当に一変している。というより、改めてその器用さを発揮した、そういう感じかも知れない。主人公は田村久雄。大学中退でコピーライターに。80年代を東京で生きてきた中で彼がみたもの、感じたものは。文庫解説にある主人公≒奥田英朗でなく≠なのだという誤読を誘う要因とその理由は?そこから何を感じ取っただろう。個人的には感慨無量の連作短編集だと思う。全部読ませて初めて別の読後感を誘う連作という要素を上手についている。 本作は時制はばらばらだが1978年~1989年の話でその時の社会と照らし合わせながら書いている。だからこそ余韻を誘うのか、それは作家が上手いのか。作家と似ているからと言って上に書いたようにあくまでもイコールじゃないんだな。 最後のベルリンの壁崩壊も含めて話は始まりだったり終わりだったりすることが多い。どちらからも得る物は多いと思う。激しくも速く移り変わりゆく時代を生きてきた中で久雄が得てきたもの。 文庫解説で「川の深さは」の解説も書いていた豊崎由美は“小説において過去を活写するというこころみは、読み手に現状を寄り深く認識させるという意味でも有意義なんである”と述べている。更には大きな主題より、細部の積み重ね。魅力のある一行が小説には求められる、と。多分、色んな人にもたらしてくれるものがこれにはある。感じ方は別だとしてもあー、っとさせられる文章が詰まったもの。思い入れが残るものだ。それは時代を書いてきたからでもあるだろうが作家の上手下手で変わる。だから奥田英朗というのは希有な作家なんだと俺自身認識した。いい読み物をありがとう。
9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
最後の一章がなんとなくじんと来た。。。,
By jinya (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 東京物語 (集英社文庫) (文庫)
最後の主人公が29歳が後1週間で終わる頃に迎えた、ある一日の話を描いた「バチュラー・パーティー」。これが最高に良かった。あと数年で自分も同じ境遇を迎える。僕もきっと主人公と同じような、あいまいな感覚でいるんだろうな、と思う。でも、主人公と同じように何か希望を持っていたいと思う。今と同じような感じで。 「ララピポ」「空中ブランコ」「最悪」なんかとは少し色が違うけど、これはこれでいい。
9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
奥田英朗の筆力をひしひしと感じる一作,
By
レビュー対象商品: 東京物語 (集英社文庫) (文庫)
どこにでもいる、ごく平凡な青年「久雄」の青春が6つの短編で綴られた力作。舞台は激動の80年代、東京。青春というテーマのもとに、誰もが共感しえ、そして共感したくなるなにかを、奥田氏の感性を通して淡々とたどっていく。楽しく、切なく、あまずっぱい1冊。全編にわたり、1978年~89年という久雄の11年間が描かれているのだが、本の中では1短編は主人公の各時代を象徴する「ある1日」の出来事のみを扱っており、全6編(都合6日分)を読めば、久雄の成長から当時の時代背景に至るまでを共感しながら知りえる。この構造が非常によく出来ており、読ませる。
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