祝常緑は、不在がちな父のせいで、叔父と一緒に暮らしている。
母の手がかりは、自分の名前が彫られている椿の種子と、黒い椿が写った写真、その裏面に書かれた《Tsunomegawa》という文字だけ。
その生活にそれなりの満足感を見出していた常緑の意思とは裏腹に、家族の謎が解明し始める……
実際に解明される家族の謎よりも、それによって揺れ動く常緑の心情がよかった。
大人びた独白でありながら、拗ねてわがままをいったりパニックになって飛び出したりと、行動が中学生の等身大で、微笑ましい。
父、朔朗の常緑への感情が途中までつかめず、常緑と同じように不安だったけれど、飛び出した常緑を裸足で追いかけようとして通報されたり心労で倒れたりと、徐々に父親らしい(?)ところが出てきてよかったです。
相変わらず食べ物がおいしそうで、風景描写がきれい。
東京ってこんなきれいな街だっけ? と思ってしまいます。