まず、著者がどのような目的意識やモチベーションで研究テーマを選んで実績を上げていったのか述べられている。自分のおかれている環境でできることは何であり、不足していたものは何かを適切に判断する。その結果、他人の観測データに頼らずに独自の観測装置が必要であること明らかになる。現在の科学は、実験にも観測にも膨大な費用と人と時間が必要をする。研究に必要な観測装置を外国に設置することになった著者は、種々の問題点を解決していく。予算の獲得と使用、外国の大学との契約、官僚組織との政治的な問題、また観測装置を作る場所に生活する人々との関係、さらには社会との関わり合いを健全に持ち続けるには何が必要であるかが、興味深く描かれる。
本書は天文学と物理学に関して本書の問題点となる概念の説明が詳しくなされていないので難しいと感じる人もいるかもしれない。しかし、本書は良質の科学ノンフィクションとしておすすめできる。(村藤一雅)
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