オリジナルは2006年3月リリース、文庫化は2009年3月10日。通称『赤アイラー』。2004年4月から1年間、東大教養学部からの『非常勤講師としての通期のゼミ依頼』に基づいて大谷能生と共に、展開されたジャズ講義である。デートコース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデン等の『演奏』のイメージしかなかった菊池成孔のイメージががらりと変わってしまった一冊だった。こういう講義をやらせる東大の懐深さにも感心した。 『赤アイラー』は後期授業を収録。多彩なゲストが登場してくる。
ただ『赤アイラー』では読み進むほどにジャズではなくなり、アイラーではまったくなくなってきてくる。これは果たしてジャズを語っているのか??まず後期10月は丸々『ブルース』である。ここらへんはまだ許せたが、11月は丸々『ダンス』が続く。この辺でまったく『アルバート・アイラー』ではないものになってしまう。と思いつつ読み、タイトルは何なのだ。単なる『コピー』かとか思う。いやいやぼくの読み方が浅いのかもしれん、とか思い直すがやはりジャズじゃないし、アイラーでもない。ブルースの中でレッド・ツェッペリンのブルースの話が出てくるのだが、コラージュ扱いである。全然賛同出来ない。
といった面もあるが、全音楽を全方位から捕まえようという姿勢は一貫している。特に後半へ行くほど、ジャズを中心とした音楽の分析は論理性と多面性を増してきて読む者を唸らせる。そういう意味で実に価値ある一冊だ。