最初、【とーきょー いしい あるき】と言うタイトルで発表された、この作品集。
東京の街を舞台にした短編が全部で18篇収められている。
【幻のデビュー作】と言われるだけあって、
いしいさん自身が主人公であろうと思われる毒舌たっぷりの私小説的作品から、
星新一風なショートショート、不条理小説、果ては、鴉の書いた日記まで。
現在の、いしいさんの作風とは若干異なるテイストの物語を楽しむ事が出来る。
頭の中を洗いざらい全部ぶちまけた感じの迫力と覚悟が凄い!
実際この本を発表した後、本格的な小説家活動を開始するまで数年の空白期間があるようで、
故中島らも(その辺の問題で対談)のサイン会に、
ふらっと現れた時には「生きとったのかぁ!」と感動されたりしているし。
天性の物語作家いしいしんじは、こうして誕生したんだなぁ。
特に、浅草の老ホームレス【先生】(寺の住職だった人が五十歳を過ぎ、
坊主とコジキは三日やったらやめられんってホンマか?を確かめに家出、それから20年浅草の主。)
との話が秀逸!!笑えて泣ける傑作です、是非どうぞ。