おそるべきデビュー作『ラスト・ワルツ』から二年余り。待たせてく
れたよ、島田虎之介。でも待ったかいがあった!
複数の登場人物の人生が交錯しながら、ひとつの長編物語が形作られ
られていくのは『ラスト…』と同じ手法なんだが、その手際はより巧妙
で、さらに鮮やかになっている。
CF会社の新人ディレクター、ピアノ調律師、人気ストリッパー、広
告代理店のカリスマ・クリエイターといった多彩で魅力的な登場人物た
ちの人生が、複雑かつ大胆な構成で描かれ、ラストに至って「あっ、そ
うか!」と膝を打ちたくなるような結びつきを見せる。
こんなマンガ描くのは島田虎之介しかいないんじゃないの?
島田を他人に説明する時「『マグノリア』のポール・トーマス・アン
ダーソンみたいな漫画家」と言えばわかりやすい、と思うし、事実そう
説明してるんだが、それだけじゃ足りない、それ以上の可能性を秘めた
マンガ家だとも思う。
この時期に本年度ベストワンを宣言するのは早急すぎるので、『東京
命日』はベストワン選定に必ずひっかかる作品になるだろう、と言って
おこう。