冬枯れの東京で合コンを通じて知り合ったエリコと田村。田村にはアメリカ留学中の真弓という恋人がいる。そんな彼にエリコは一年という期限つきの恋愛関係をもちかけた。季節が巡り、やがて恋人・真弓が帰国するという知らせが届いたとき、エリコは初めて自分たちの関係が一年で区切りをつけるには大きくなりすぎていることに気づくのだが…。
「病院で死ぬということ」「東京兄弟」などで見られた、監督・市川準の個性的で様式化したいつもの撮影文法が今回も忠実に踏襲されています。
登場人物たちの撮影サイズは専らフル・ショット。台詞の一つ一つは物語の展開に直接には結びつかない言葉の積み重ねであり、しかも時に語尾が不明瞭でボソリボソリと静かにかすれるように語られます。そして場面転換時に繰り返し差し挟まれるのは伝統と変貌が混在する東京のスナップ・ショット。
二人が奇妙な関係を結ぶ成り行きは、万人の了解を得られるものではありません。その一年後の自分たちを熟慮せぬまま彼らがスタートを切ってしまうのは、若さゆえの青さといえます。やがてどうしようもなく切ない終点へと到達するのですが、それを身から出た錆として受け入れていくことによって二人は人として成長していくのだと思います。人生を歩むということは、自らが下した選択と決断の責任を負うことを意味するのですから。
だからこそこの映画の結末を、これは禁じ手ではないかと私は思うのです。娯楽作として締めくくるならこういう幕切れもあるでしょう。しかし、人生はリセットがきかないからこそ真摯に生きるに価するのです。この結末では監督はリセット・ボタンを押してしまったような気がします。
自身の出演したCMビデオをエリコが見ているあの場面でこの映画を締めくくっていれば、私はこの映画がエリコの成長物語として清々しい作品になりえたと思います。そのチャンスを逸したのは返す返す残念です。