東京の下町にある老舗の古書店を舞台に、悲喜こもごもの人情噺を、情緒あふれる
家並にふさわしい登場人物たちが鮮やかに織り上げる、エピソードの数々。
一徹な親父、奔放なロッカーの倅。三人の孫は真面目にちょっと軽いのと、
あとはシングルマザー。
登場人物の性格付けは、なかなか考えてあってご苦労様と言いたい。
一見バラバラで破綻しそうな家族だが、著者の手腕によって見事にまとまり、
面白そうなことには皆が首を突っ込みたがり、トラブルに対しては結構真面目に
解決の道を探る。
出てくる人はみんな良い人で、昔の「お笑い三人組」や「一丁目一番地」的感じ。
「なんじゃ?それ。」とおっしゃる向きには「オールウェイズ三丁目の夕日」と
言った方が分かりやすいかも。
古書店だけに、みんな結構インテリで実は真面目なのがちょっと面白みに欠けるかな、
という嫌いはあるが、誰もが嫌いではない世界だろう。
そういう意味では、安心して読める一冊だ。