豊富なデータと参照で、客観的事実を迷いなく畳み掛けるように積み上げ提示していく。日本のスキームは、戦後の「キャッチアップ」から、バブル崩壊と失われた10年を経て「危機」と「競争」に舵を切った。新しい都市再生政策が、都市に暮らす人間像のイメージ――「自立した個人」――まで踏み込んで規定している、という指摘は卓見だ。
浸透する個人主義。人と人のつながりのわずらわしさを避け、自らの選択で勝ち取ってきた自由だと思っていたものが、いかに政策によって与えられたものだったのか。本書を消化すれば、東京についてうっすらと感じている違和感、生き辛さの成因が説明できるようになるだろう。再開発とタワーマンション、ディズニーランダゼイション、過剰防衛都市、ベビーブーマーとベビーバスター、住宅福祉など、いろいろと応用の幅が広い一冊だ。
取りあえず、マンションは買わないようにしよう(そんなお金ないけど)。