日本橋区、京橋区、浅草区、本所区、麹町区、赤坂区、牛込区、四谷区、本郷区、神田区、芝区、小石川区、深川区、下谷区などなど。戦前の東京は今より狭いエリアを15の区にわけ、その他は基本的に郡、町だった。しかし文京区だの北区だのいかにもとって付けたような官僚的な無味乾燥な新地名に比べ、旧地名はなんと生き生きとしていることだろう。牛込区とか本郷区とか京橋区といったほうが、聞いただけでそのまますっと場所がアタマに浮かんでくる臨場感があるじゃないですか。中央区なんていったって、誰もそこが東京の中央だなんて思っていない(やはり東京の中央は皇居だ!)だから新地名は何度聞いても何度読んでも空々しくよそよそしい。本書を読むと「ああ、東京の本当の地名はこれなんだな」ということが良くわかります。夏目漱石、永井荷風などの作品を読む時の手元資料としても最適。うっかり読みかけの小説を放り出してこっちの地図の読み込みに没頭してどこまで小説を読んだのか忘れてしまうこともしばしば。良く出来ています。