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東京の公園と原地形
 
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東京の公園と原地形 [ハードカバー]

田中正大 , 344
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「MARC」データベースより)

自然が作った谷「谷戸」をキーワードに、東京・神奈川等の公園の原地形を探る。武蔵野台、丘陵、崖線等に分類し、原地形が庭園や公園にどう生かされてきたかを各公園の実例に照らして解説する。

登録情報

  • ハードカバー: 343ページ
  • 出版社: けやき出版 (2005/6/13)
  • ISBN-10: 4877512721
  • ISBN-13: 978-4877512729
  • 発売日: 2005/6/13
  • 商品の寸法: 21.2 x 14.6 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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形式:ハードカバー
東京の地表の形態およびその成因・発達史などを研究する際、本来の地形、つまり原地形を読み取ることが重要である。本書の言葉を借りると原地形とは「人の手のまだ入らない自然のままの地形」のことである。つまり原地形とは自然のバランスに成り立っている地形であり、大自然がこめられている地である。残念ながら今日の都市化が進んだ東京では原地形をみることは難しい。
しかし谷戸(やと)から原地形が見えてくると筆者は言う。谷戸とは全国的なものではなく、関東地方に見られるようで、もともと水田と密接な関係あるような湿地のことである。
本書は「谷戸」のキーワードとともに武蔵野台や丘陵の谷戸、崖線の谷戸の3つに分けて、原地形が公園にどう生かされてきたか、実例をもとに検証していく。また原地形は姿を消しているからこそ空白の部分に興味をそそられる。一つずつ細かに分析し読み取っていく筆者の姿が丁寧な文面から伝わってくる。
さて、都市化が進んだ東京でも意外にも緑は多い。代々木や表参道、新宿、池袋などがその代表である。なかでも新宿御苑がイギリス風景式庭園をもとに形成された事は、本書を読むまで知りえなかった事実である。このように日本の庭園はイギリス風景式庭園の影響を受けているものがあるが、一方桜田豪周辺の景観のように、思わず美しさにハッとさせられてしまう、自然が成す日本独自の地の存在も注目したい。本書の後に谷戸の傑作として登場する椿山荘と三渓園は、自然がつくった基があるからこそ生かされている土地であり、庭園である。優れた公園や庭園の多くは、残された原地形を人の手によって生かされたものが多いのだ。
本書は東京近郊の多くの有名な公園が紹介されていくので、読み手側は親近感を持って景観を思い浮かべながら読むことができる。公園の地形や歴史について学ぶ機会が少ないものにとっては、豆知識のようなものを教えてもらった心地がして、なんとも気持ちがよいのではないだろうか。また、名前だけは知っていても訪れたこのない地については、より興味をそそられ、ぜひ足を運んでみたくなってしまう。本書を読み終えると、今までの公園への視点と違った世界もまたみえてくるであろう。
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形式:ハードカバー
本書は「谷戸」というキーワードを通して東京・神奈川にある公園・庭園の原地形を探っていき、それぞれの地域の原地形がどのように生かされてきたのかということを、解説していくスタイルで展開されていく。
この「谷戸」という語句の意味は、地形的に湿地や谷間のように日照条件の悪い陰湿地を主に意味する。
本書の中で、この谷戸を持つ公園・緑地の傑作として挙げられる場所に対して次のような説明がなされる。
「傑作というのは自然が作り出して傑作であり、長い長い年月により作り出されたものである」
しかし、そのあと次のような文章が続く。
「もし、自然のままに放置されれば、ここには好き放題に木々が生い茂ってしまい、陰鬱な場所になってしまう」
自然が作り出した傑作であると評価している一方で、自然に任せては陰鬱な場所になってしまうと言っている。だがこの傑作と呼ばれる場所はどこも陰鬱とは正反対の美しさ・雄大さを持っている。これは一体どうゆうことなのだろうか。
その答えはこれらの場所が「自然のまま」に見えるように不断に手入れがなされているのである。
しかし、ただ手を加えるだけでは、人工物になってしまうと筆者は語る。ではどのようにすれば、「自然のまま」に見えるようになるのであろうか。
筆者は本書の冒頭で地形の要求に耳を傾け、それに応えることにより、「自然のまま」に見える美しい場所が完成するのではと語っている。
原地形というのは、その土地の地形に沿って自然が作り出したものであり、そこには自然の美しさがある。そして、そこに手を加える我々もそれらに沿って、手を加えることにより、「自然のまま」に見える美しさができるのである。
自然に手を加えるという事は、決して我々が主導になるのではなく、自然と共同して、作り上げる、そんな気持ちを持たねばならないのではないだろうか。
本書はそんなメッセージを持った一冊である。
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形式:ハードカバー
この本は、「谷戸」―三方を丘に囲われ、一方が開いている自然がつくった谷のことで、囲われた低地は湿地、後に水田となったところが多い。―をキーワードとして、谷戸歩きの魅力に取り憑かれた筆者が、東京の公園がどのような原地形をしているのかを紹介している。
東京都内に存在する名園といわれるような公園や庭園は、この谷戸、つまりその土地の自然のままの地形を活かして造られたものが多い。そういう観点から考えると、日本の庭園は、ヨーロッパのような整形式の、軸線があり、花壇や噴水がシンメトリーに配されている庭園とは全く異なる。
このように原地形を活かした理由については、日本人の生活に昔から谷戸という地形が大きく関わっていたからではないかと考える。農村社会において、弥生時代から始まる稲作は、必然的に水田を必要とする。そのため、人々は水が溜まる場所に集落を作って居住し…ではなく、谷戸地形が存在し、もともと水が溜まっていた場所に人々は集落を作り、居住し、水田を造って稲作を行っていたのではないか。その点、筆者も、うっかり見逃してしまいそうな、微妙な高低差の谷にも「谷戸」との地名が付けられている事実に、谷戸が農村社会にもっている意味の重さが感じられる。湧水があって、コメの作れる土地が、谷戸と呼ばれてきたのではないだろうかと本文中で述べている。
公園や庭園を造るとき、その多くは、人々の憩いの空間とすることを目的として造園される。公園化する前の、谷戸に造った水田自体が憩いの場とは言えないが、それでも、水田、ひいてはコメを作るために必要な水が豊富にあった谷戸地形は、稲作をし、人間が生きていく上で無くてはならないものである。その土地に暮らしていた人間の記憶、そして自然のままの谷戸地形の呼びかけに応え、谷戸地形を選び、公園などを造園したことは、ある意味、必然的だったのではないだろうか。
地形から公園や庭園を見るということは、公園や庭園を独立したものではなく、その土地の一部分として見ることである。そういった観点からの観察は、その土地の歴史が見えてくるため、日常生活の中で特段意識しないで利用している公園に対し、新たな視点を持たせてくれる一冊であった。
T・K
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