「たまプラーザ」という駅名を(その棒引き「ー」を特に)絶賛する著者だが、首をかしげる人は多いのではないだろうか。
少なくとも私の周囲の「たまプラーザ住民」に、「住んでるのどこ?」と聞かれて、「たまプラーザ」と答える人はいない。「横浜」とか「横浜の青葉区」、最寄駅名を聞かれてやっと「たまプラーザ」と答えるといった具合。地元住民にとっても、いまだに気恥ずかしさをおぼえずに口には出せない地名と思えるが。
「東武や京成もそのセンスを見習え」とまで著者は言うが、じゃあ東武や京成のどのセンスが良くないのか、といったことまで著者は言及しない。世間に流布している東武・京成のイメージを安直になぞって見せるだけ。こんな文章を書いているから、「マーケティングアナリスト」など、イメージだけで言葉を転がす浅はかな商売だ、と侮蔑されるのだ。
自分で選び出したブログの中から、「ブログで取り上げられることの多い町」というランキング表を作ったって何の意味もないし(笑える)、六本木を「東京都心部のクルマ首都」と呼ぶのもよく分からない。
雑司が谷を「3つの大学があり、そのキャンパスの多様性ゆえ将来性がある」と分析しておきながら、じゃあそれら3つの大学がどう相乗効果を出すのか?という点についてはまったく解説をすることはなく、ただの「言いっ放し」。雑司が谷の飲み屋やイベントなど、「手近な体験記」だけでお茶を濁す。ここでも「イメージ」より先のものは何も出てこない。
上野駅に地下道ができた。「こうなると、乗り換えの不便な北千住・伊勢崎線の将来が危ぶまれる」というようなことを書いているが、上野の地下道と伊勢崎線の相関関係もさっぱりわからない。どうもこの著者は東武と京成を無理矢理関係づけなければ気が済まないらしい。
「伸びる街・変わる街・儲かる街」というのが本書のサブタイトルだが、個別の街について、そのようにズバリ言い切っている言及はない。
まあ、そりゃそうだ。イメージでしか物を言えない人間に「どこが伸びる」「どこが儲かる」などと街を評価されたら、たまったもんじゃない。