東一局52本場。度肝をぬくタイトル。こんなことが、ありうるのか? ありうるのである。役満で先行した主人公は、リードしながら、不安を捨てきれない。麻雀は終わってみなければ決着はつかない。相手の三人は、いずれも一癖ありそうな面構え。早く終われ。しかし、終わらせてくれない。脂汗がしたたる。それで、どうなるか。あっと驚くラスト。
他に、暗い作品あり。痛快な作品あり。
著者は、ご自身の実体験に加え、麻雀ワールドでありうる局面と人間模様を想像力を駆使したうえで、職人芸で料理し、読者の食卓に載せる。
麻雀放浪記のような大河ドラマは、麻雀外史(正史ではないもの)としても充分鑑賞および研究に耐えるが、本書のような一品料理集も味わい深い。実話か虚構か。それは、どうでもいい。
私は学生時代、千点5円で麻雀をおぼえたが、それ以降はやっていない。阿佐田哲也の作品を読むほうが、はるかに有意義だからである。