ドナルド・キーン曰く、「江戸時代の日本は儒教社会でしたね」司馬遼太郎答えて曰く、「然にあらず、目上の者の前で煙草を吸うなど、儒礼に反するものであり、日本は、儒学を取り入れたが、儒教は社会には根付かなかった」。とにかく、東亜細亜を一緒くたにして、このように解する半可通の外国人がいるが、そのような輩に本書を読ませたい。
しかし、儒と女については、明治初期の新聞を読むと、有名人の蓄妾についての記事などがあり、こちらについては、家の存続という儒礼に基づかない要請で、同様なことが行われていたことが分かり、なかなか面白い。
それにしても、永井荷風や泉鏡花の亡霊が現れたと思わせる擬古文体の使用など、なかなかの畸人と見た。読書人の楽しみとは、このような書籍を読むことに尽きる。