いつものことですが、ドジさまは時代検証にものすごいエネルギーを注いでおられる!と感動してしまいました。
コミックのタイトルである「赤い石」という短編では(この番外編は全編が「杖と翼」の本編にまつわる短篇集ですが)、ヨーロッパの父と言われるケルト人の末裔がヒロインに描かれ、その昔、ケルト人が発祥の地ドナウ川流域から西ヨーロッパに流れていった歴史も背景に描かれています。また、リュウとファーブルがフランス革命の時代を生きるという設定の中で、さらに300年さかのぼった中世の王侯貴族たち(生身の人間ではないのですが)が描かれ、ヨーロッパを東から西に、また中世からフランス革命へと300年の時空を超えて、自由自在に筋書きが進みます。
西ヨーロッパの歴史の中で、東から移住してきた先住の民族が次第にヨーロッパの端に押しやられ、現代のフランス、ドイツ、イギリスなどの西ヨーロッパ人が主役となっていった史実が「赤い石」の話の中に見え隠れします。また、占いやシャーマニズムなど自然と共存したケルト文化も触れられています。さらに衣装や言葉遣いなどにも、それらの歴史の変遷が感じられ、ドジさまの作品の時代設定の細やかさに、改めて脱帽です。
その他の短編もそれぞれに興味深いテーマで描かれていますが、やはり「杖と翼」の本編を読んでから、あるいは同時進行で読みながら、この番外編2を読まれると、更に理解が深まり深い感動を得られると思います。
もう一冊の番外編1「悲歌(エレジー)」の方も、リュウとファーブルの隠された関係がわかり、本編がより面白くなると思います。