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17 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
特に村上春樹フリークではない私の胸を打つ文章がいくつもあった,
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レビュー対象商品: 村上春樹 雑文集 (単行本)
前書きによると「作家としてデビューしてから三十年余り、あれこれの目的、あちこちの場所のために書いてきて、これまで単行本としては発表されなかった文章」を集めた一冊。誰かの本に付した序文や解説、受賞式の挨拶文、『アンダーグラウンド』をめぐる著者の見解、翻訳に関する文章などなどが収められています。 エルサレム賞の受賞式でのスピーチ「壁と卵」は実に心打つ文章です。パレスチナ人に対して武力を行使するような国から賞を受けるにあたって村上春樹は果たしてそこで何を語るのか、と大変大きな注目を浴びた時のものです。 そのスピーチで村上は、本来は我々人間を守るはずの「システム」が、私たちを殺し、殺させるものへと容易に変貌することを指摘し、警鐘を鳴らしています。 おそらく村上春樹と同じような立場に立たされた作家たちの多くが単に賞を拒絶して済ますかもしれなかったところを、言うべきことを言う文章を携えて現地に赴いたというその勇気ある凛とした態度に強い共感を覚えました。 そしてこの書に収められた数々の「雑文」が浮かび上がらせるのは、村上春樹という作家が自分を囲む事柄や人々、そして事象の数々との間に持つ相関関係や距離感です。それは「自分について原稿用紙4枚以内で説明しなさいという就職試験の設問にどう答えたらよいのか」という読者から寄せられた質問に、村上自身が「例えば牡蠣フライについて書いてみれば、自分と牡蠣フライとの相関関係や距離感が自動的に表現されて、それがすなわちつきつめれば自分自身について書くということになる」と答えている事実に即しているともいえます。(「自己とは何か(あるいはおいしい牡蠣フライの食べ方)」) そしてそこに見えてくる村上春樹という作家の、社会に向ける眼差しの優しさと厳しさに、心が温もっていくのが分かります。 「雑文」という言葉が似合わない、味わい深い文章が詰まった書です。
58 人中、51人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
雑文にあらず,
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レビュー対象商品: 村上春樹 雑文集 (単行本)
「雑文」とはいっても、言うまでもないことだが珠玉の「名文」ぞろい。文芸誌などに掲載されたものを中心にテーマごとにまとめられている。それぞれの文章に著者のコメントが付いており、それもまた味わい深い。本書の一文を引用させてもらえるならば、村上氏とファンの「心の交流」が楽しめる一冊だろう、と思う。 中でも結婚祝いのメッセージは簡潔ながら夫婦生活の本質を見事に言い当てており、いま話題の「ノルウェイの森」のタイトルについての文章も興味深い。読み応えはたっぷり。 でも本当のことを言うと、村上作品の装幀に携わってきた安西水丸氏と和田誠氏による「解説対談」が一番面白かったかも…
21 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
未収録原稿集,
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レビュー対象商品: 村上春樹 雑文集 (単行本)
本書の好みは人それぞれだと思います。そもそもが未収録原稿集なので、「よかった」などと褒めるべき類の本ではないのでしょうが、村上春樹さんの作家としてのスタンスが垣間見られ、読んだ甲斐はありました。 個人的には村上春樹さんという作家の本質は、長編より短編、そして短編よりはこのようなエッセイに色濃く出ていると思います。 内容は、親交のある人物についての評、音楽の話、作家論、スピーチ草稿などなど本当に様々です。 中でも話題になった「壁と卵」はなかなかに迫力のある草稿で、一読の価値はあります。 個人的な感想を言わせていただければ、自分が本書で一番強烈だったのは、音楽論でも作家論でもなく、安西水丸さんという人の村上春樹の世界における存在の大きさでした。 村上さんにとって安西さんは、単なる友人以上の、何かアンカーのようなものだったのだと始めて知りました。 この面倒くさい大作家の信頼を一身に受け、しかもそれをさらっと受け流している水丸氏の偉大さを確認できただけでも、本書を買った意義があったと思うので、星5つ。
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