刊行間もない『1Q84』をこれだけ突っ込んで読みこんだスピードに感心しました。『1Q84』に見出されるいくつかのテーマのジェネシス(起源)を、過去の村上作品にさぐってゆく手並みは、推理小説でも読むようにスリリングです。
「ノモンハンを行く」と「イタリアを行く」2編の紀行文と、重厚な村上春樹論「生成する全作品」が、巻頭の圧巻「『1Q84』のジェネシス」200枚に直結する仕組みになっています。村上の全作品を縦横無尽に駆けめぐる著者によって、『1Q84』の世界が大きく広がってゆく。「青豆」のジェネシス(起源)は「直子」とか、「リトル・ピープル」をめぐる謎の解決とか、目からウロコの新発見がメジロ押しです。