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村上春樹はくせになる (朝日新書)
 
 

村上春樹はくせになる (朝日新書) [新書]

清水 良典
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

 カフカ賞もとり今年のノーベル文学賞最の最右翼と言われる村上春樹。日本現代文学を代表する作家は、若者層を中心に世界中の読者を魅了する。なぜハルキが現代人に読み継がれるのか、現代人と彼の文学との接点はどこにあるのかを、元高校教諭の文芸評論家がく読み解く。処女作『風の歌を聴け』から最新長編『アフターダーク』までの代表作を網羅。この一冊で村上春樹のキモがわかる!!

内容(「BOOK」データベースより)

なぜ、日本のみならず世界中の読者が、村上春樹に魅了されるのか?著者は1995年に起こったオウム事件と阪神大震災を描いた作品に注目しながら、初期作品から最新長篇『アフターダーク』まで主要作品の小説論を展開。わかりやすく読みやすい村上春樹論の決定版。

登録情報

  • 新書: 236ページ
  • 出版社: 朝日新聞社 (2006/10)
  • ISBN-10: 4022731044
  • ISBN-13: 978-4022731043
  • 発売日: 2006/10
  • 商品の寸法: 16.8 x 10.8 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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19 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By pine_l
形式:新書
デビュー以来村上春樹をリアルタイムで読んできた自分としては、氏の小説に対する評論の類は興味も無かったし、むしろ避けてきたところがある。評論など読まなくても氏の小説はいつも変わらず面白かったし、したり顔の説明や些細なディテールの意味付けなど、必要ないばかりか不愉快だったからだ。

しかしこの本は本屋でふと手に取ると、つい半分近く立ち読みしてしまうくらい面白かった。「知識人や専門家のためでなく、一般の読者のために、読者の一人として作品を語り合うような書き方をしたかった。特定の専門知識や、得意分野に引き付けて村上春樹を切り刻んで解剖するのではなく、素手で作品と向かい合い、ただ読むことを楽しみながら、その魅力や秘密を語りたかったのである。」筆者のあとがきにある通りの本となっていると思う。

筆者の視点は1995年の地下鉄サリン事件、阪神大震災を村上春樹のターニングポイントと捉え、それを軸に作品のスタイルの変化とテーマの深化、その必然性を明らかにしてゆくものである。一応作品を時系列で取り上げ順番に語ってゆく形式なのだが、個々の作品を独立して考えるのではなく、あくまでデビューから現在までの作家のパースペクティブの中で個々の作品を位置付けることに主眼を置いている。そうすることによって、村上春樹という作家が一貫して試みてきたことを捉えてみようというスタンスである。その流れで、最終章では次の作品の予想までサービスしてくれている。

読み続けてきたために気が付かなかったスタイルのはっきりとした変化や、逆に読み続けてきたのに気が付かなかったキャラクターの重複など、筆者の指摘は納得させられる割りには押し付けがましさが無く、そうそう、そうだよねと同志を得たような気分で読み進めることが出来た。わたしが読んでもわかるように書いてね、と筆者にアドバイスしたという奥様に、自分も拍手を贈りたい。
このレビューは参考になりましたか?
16 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
 私は1964年生まれで、典型的な村上春樹世代である。ただ、長編6作目の『ダンス・ダンス・ダンス』あたりから違和感をもつようになり、それ以降は少し距離を感じている。ここで詳論はできないが、村上の長編小説は、基本的に疎外→寓話→現実という構造を反復している。ちょっとなあという気持ちが募ってくることは否定できない。

 本書の著者は文芸評論家で、近年の文芸批評が、知識や理論一辺倒になる中、敢えて平明な読解や解説の姿勢を堅持しており、私は好感をもっている。この本でも、村上の長編総てと、オウム真理教を扱った2冊、そして、阪神大震災を扱った短編集1冊について、非常に平易な解説がなされている。著者もいうように、論者個人の見解を強くおし出してしまう本が多い中、村上への、偏りのないガイド・ブックとして今後重宝されるだろう。

 当然、著者は村上に対して肯定的である。彼の作品は一貫性をもっているが、他方、どんどん変化しており、現実性や他者性を新たな形でとり入れているという。また、『海辺のカフカ』にギリシャなどの古典的な演劇的構造があるといった指摘も興味深い。

 ただ、その一方ではどうだろう。私自身は、本書を読んでも、一時期以降の村上に対する距離感はやはり変わらなかった。著者も、村上の作品の中に構造的な反復の部分があることを認めているが、変化と意欲の方を評価したいとする。しかし、私としては、やはり、疎外→寓話→現実の反復が続くことには疑問がある。別に、リアリズム小説を書けなどという気はない。しかし、次の長編も、また、主人公の疎外感から話が始まるのではないだろうか。
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8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
 初期作品から最新作までの主要14作品を取り上げて、

村上文学の変遷と展望を解説した村上春樹論。

清水氏の今までの評論の中で、一番面白く、読み応えがあった。

特に『海辺のカフカ』の解説は説得力があり、佐伯の「魂の闇」で

この難解な小説の謎が少し解けたような気がした。

また『ねじまき鳥のクロニクル』の「井戸」というメタファーの

作者における意味、そしてこの作品が村上春樹の変容を記録した

年代記(クロニクル)だったという視点はさすがだと思った。

 題名と内容に少し隔たりがあるような気がした。
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