必要を超えた欲望を要求した住民を叱り、破綻した夕張でプライマリーケア、在宅ターミナルケアを含めた地域医療と町づくりの高い理念を掲げて集った、村上医師とスタッフの情熱と、スタッフ同士がコーディネイトし合って結合する組織のあり方には賛同する。
専門医でなく、ゼネラリストとしてのかかりつけ医(予防医)を増やす事での、医療費の削減を含む理想的な医療にも賛成だ。
しかし、それをどう住民に浸透させ、具現化するのかについて知りたかった私としては、本書は物足りなかった。
村上氏が(地域医療の完成形として)退屈した、越後湯沢の取り組みにもっと触れて欲しかった。
聞き手が教育のNPO代表で医療は門外漢、村上氏は教育のプロではなく、これもミスマッチではなかったか?
それらの点を減点した。
経営を圧迫する老朽化した病院の補修費と5000万円にも及ぶ水道光熱費に対する市・道・国の支援が得られず、村上スキームは敗れるのか、それとも長野県泰阜村で、12年間無医村化を食い止め、前任の網野医師を引き継ぎ、在宅医療を進め医療費の抑制に貢献したにもかかわらず、「村民になれなかった」の言葉を残し来年3月に去ろうとしている佐々木医師のように、住民に追い出されてしまうのか。
どちらにせよ、それは将来への苦い良薬を拒否する事であり、ウォンツを行き着く所迄増大させる舵取りだと住民が気付くかどうか、見守りたい。