仙人の暮らしにあこがれる一方、各地を放浪して人と交わり、詩で名声を高め、玄宗と楊貴妃のために詩を作る宮廷詩人としてお召しを受け宮廷生活を過ごしたのも束の間、宦官の陰謀で宮廷を追放され、さらには安史の乱に巻き込まれ、とうとう宮廷に復帰することはかなわず、再び放浪生活を送り、死を迎えた波乱の一生。朝廷に仕える望みと隠逸生活を楽しもうという衝動に引き裂かれる当時の知識人の典型的なパターンに当てはまる一生と言える。酒を愛し放浪生活の方が圧倒的に長かった李白には、総じて豪快で明るい詩が多い。しかし、そういった詩ばかりではない。「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る」「春夜洛城に笛を聞く」など学校の漢文の授業で習った詩を改めてじっくりと鑑賞すると、何と余韻に満ちた素晴しい詩であることかと深い感銘を受ける。また、ほとんど中国中に足跡を残し各地で詩を詠んでいるので、中国各地を旅行したような気分になれる。杜甫と並ぶ中国文学の一大巨峰の代表作を、年代順に、石川先生の優れた解説とともにじっくりと味わってください。