柳田邦男
1999年9月に起きた茨城県東海村での臨界事故。核燃料の加工作業中に大量の放
射線を浴びた患者の命を救うべく、83日間にわたる壮絶な闘いがはじまった─
─。「生命の設計図」である染色体が砕け散り、再生することなく次第に朽ちてい
く体。最新医学を駆使し、懸命に前例のない治療を続ける医療スタッフの苦悩。
人知及ばぬ放射線の恐ろしさを改めて問いかける、渾身のドキュメント。
(『東海村臨界事故 被曝治療83日間の記録』改題)
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5つ星のうち 5.0
今こそ緊急増刷すべき一冊。,
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レビュー対象商品: 朽ちていった命―被曝治療83日間の記録 (新潮文庫) (文庫)
2011年3月26日現在、福島第一原子力発電所では事態収拾作業が続けられている。通常の1万倍という放射線の環境下、東電側の不手際で作業員が被曝するという事態まで 起きてしまった。 このような時だからこそ、十年近く前の東海村JCO臨界事故のことを想起すべき、と考える。 舞台は東大病院の無菌治療室。JCOの作業員として20シーベルト(今やこの数値が何を物語るか わざわざ説明する必要はないだろう)の放射線を浴びた35歳の男性。 入院時は意識もはっきりしていた。しかし、事態は11日目ごろから急転する。 「こんなの嫌だ。このまま治療をやめて、家に帰る。帰る」 「おれはモルモットじゃない」 致死率100%ー文庫の口絵にある右手の変化の写真が痛ましい。 そして、被曝によって生命の設計図である染色体が崩壊してしまう画像。 まさに、朽ちていく染色体、朽ちていく「いのち」なのである。 このような事態に至って、治療行為、延命にいかなる意味があるのか? 医師、看護師の葛藤に関する記述が重い。 男性がなくなった後、主治医は記者会見でこう述べる。 「原子力防災の施策のなかで、人命軽視がはなはだしい。現場の人間として、いらだちを感じている。 責任ある立場の方々の猛省を促したい」 私たちは、この事件から教訓を得たのだろうか・・・・答えは否である。 <協力会社>という形で作業されている方々の環境。 線量計がない、だとか、長靴がない、といった報道に接するにつけ、暗澹たる気分になる。 そしてなにより、元請の会社に対する怒りを覚える。 日々、このような報道に接するたび、上記の疑問を抱かれる方は是非一読されたい。 今日も福島では「直ちに」影響が出るレベルで作業されている方々がいることを想起しながら。 すぐに、増刷が望まれる本である。
228 人中、221人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
重い,
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レビュー対象商品: 朽ちていった命―被曝治療83日間の記録 (新潮文庫) (文庫)
政治的主張も著者の自己主張もこの本にはない。だからこそ起きた出来事の重さが感じられる。 一気に読めるが本当に重い。 「ジョニーは戦場に行った」よりも重い。 人の献身、努力すら無駄であり読者からみれば一切の行為が不快に思えるほどの徒労。 奇跡や恩寵すらない被曝死という現実。 関わった人々の無慈悲な結末は現実に起こった出来事だ。 亡くなられた方のご冥福をお祈りします。
149 人中、144人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
被爆とは何か。,
By July_mood (北極の地下) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 朽ちていった命―被曝治療83日間の記録 (新潮文庫) (文庫)
被爆と聞くと、やはり子供のころ読んだ「はだしのゲン」に出てくる被爆者を思い出してしまいます。彼らも充分壮絶に描かれていましたが、この本を読むとそれもかなりコミカライズされていたものだということを理解しました。最初は元気だった大内さんが徐々にしゃべれなくなり、体のいたるところが静かに朽ち始める。27日目を越えたあたりからガーゼでぐるぐる巻きにされ「お父さんロボットみたいになっちゃって」子が呟く。花口さんは自分がケアしている人が本当に大内さんなのか分からなくなってくるほど、追い詰められてしまった。 それでも被爆者を前にし83日闘い続けた医者たちのリアルな葛藤、本で読んでいるだけの私もその場にいるような気分にさせてれました。なにより、被爆者の現実を突きつけられた気がしました。 しかし、今も原子力大国に突き進む日本ではだれもがこのような、ことになる可能性があるということを忘れてはいけない。この本は決してどちらかに偏ったものではないが、私たちはいつかこの問題に対して正面を向きあって考えるべきだと伝えいます。 原子力について考える時、一つの判断材料としてこの本を参考にしてみたらどうでしょうか。
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