金田一耕助の初登場作品にして、戦後本格の幕開けを飾ることになる横溝の代表作だ。
土俗的で因習めいた舞台設定が醸し出す独特の雰囲気と、それを加速させ際立たす異様な
登場人物の配置。そして、それは取ってつけたものではなく、優れた人間観察による裏打ちが
あるのは歴然で、特に、やりきれない想い、報われない想いを胸の奥底にこだまさせている
繊細でとことん弱く、それでいて病的にストイックな人間を描かせたらあまりに天才的。。
そして、従来密室自体を構成しにくいと謂われる日本家屋で、これだけの和風大仕掛けを
創案した気概。あくまで本格、これでもかというぐらい本格に徹した主義・信条が見事。
本作が規範となり才能ある追随者が続き、確乎とした流れが出来た。まさに源泉であり原点。
これを読まずして何を読む。必読。