戦国末期から江戸初期に生きた、本阿弥光悦・その母/妙秀など言動を、一族の者が
書き留めたとされる記録。読み物としても面白い。
光悦に代表される本阿弥一族のその気風は、町人というよりはむしろ武士に近く、
芸術家とは別種の、透徹した職人の気概のようなものを感じる。
妙秀女の人間性については、当時の価値観や倫理観(仏教思想的な宗教観も含めて)
に照らしても、その独自性は興味深い。
注釈等について… 所司代・板倉氏をはじめ、人物に関しての解説が妙に詳細だったり、
一部に小さな人名の表記違いがあったりはするが、概ね妥当なところ。
中・下巻に関しては、内容や成立過程に問題があるにしても「付録のようなものだから」
とバッサリ切り捨てず、概要だけでも付記しておくべきかと。
気軽に読みたいなら、現代語で読物仕立ての 中野孝次 著「本阿弥行状記」の方が楽しめ
るかも。