人間の幼児が不思議なくらい簡単に母国語を習得できるのはなぜか?
幼いヒナのつつき行動は摂食のためだが、最初からそれができるのはなぜか?
それは誕生前からすでにそれぞれの適応プログラムが仕組まれていて発現するからである。
これが生得論。
著者は反論となる実験報告や実験方法の落とし穴、解釈というものの危うさをもとに生得論
が確たる根拠の上に成り立っているものではないと指摘する。
本能という行動は決して合理的に考えられるものではなく、実に不明瞭な世界の上にあるこ
とが、また観察者は幼いものに対して思い違いをしているのではないかということが一読
わかってくるが、こういう考えは科学界ではあまり重要視されていないらしい。
本能という行動を明確に語りうることへの旅はまだはじまったばかりと著者はいう。
痛烈な生得論批判本だが、本書は読み物として大変面白く、教えられることが多い。